自称詩人の食卓/花形新次
 
「わしゃ、実は
自称詩人やねん」

夕食の時
突然じいちゃんが
呟いた言葉に
家族は誰一人信じられず
唖然とした

「もう六十年になるかのう・・・」

「やめてくれ!」
俺は立ち上がり
それ以上じいちゃんに
語らせないように
じいちゃんを遮った

「今更そんなことを言って
どうしろって言うんだ!
めぐみだって結婚が決まったっていうのに」

「うわ〜ん!」めぐみが泣き叫んだ
母はめぐみの肩を抱いて大丈夫、大丈夫と
根拠なく言った

「一体どうしろって言うんだ
一家心中でもしろっていうのか!」
俺はじいちゃんにそう叫ぶと
親父に向かって言った

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