自称詩人の食卓/花形新次
「親父はどうするつもりなんだ」
箸を止めて下を向いた親父は
うずうずと何かを言いたそうだった
「親父、あんたまさか・・・・」
「す、すまん、この通りだ」
そう言って深々と頭を下げた
「私も自称詩人なんだ」
「いやああああ!」
それを聞くとめぐみは
家の外に走って行ってしまった
母もそれを追い掛けるように
行ってしまった
俺はガックリと椅子に腰掛けて
頭を抱え込んだ
「じいちゃん、親父・・・
二人も自称詩人だったなんて」
どのくらい時間が流れただろう
もうどうしようもない
今のうちに何とか処理しなければ
俺は急いでガレージに行くと
車からガソリンを抜き出して
食卓にばら撒くと
ガスコンロに火をつけた
辺りは火の海と化し
自称詩人が炎に包まれながら
最後の自称詩を叫んでいた
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