変わり続ける世界の中にも変わらないものがただひとつある/ホロウ・シカエルボク
 

琥珀の雨が降る熱波の午後にくたばる蟲たちの乾いた最期だろ、ブロック塀に書き殴られた遺言は誰にも解読することが出来なかった、哨戒機がいつだって脳天に照準を合わせている、やつらがその気になればあっという間にアメーバの仲間入りさ、炒り過ぎたコーヒー豆が作り出す黒焦げの死体みたいな風味、サマー・カニバルを口ずさむ一瞬に見えた彼女の叫び、誰の足元にだってひとつふたつ狂気の欠片は落ちているとしたものさ、他人に何かを求めるのは自分自身の力じゃどうにもならないからなのかい、地下から吹き出すスチームは浮浪者たちを斑模様にする、それだって彼らの人生の選択のひとつだ、土で出来てるのかと思えるくらい薄汚れたアパートメ
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