変わり続ける世界の中にも変わらないものがただひとつある/ホロウ・シカエルボク
 
トメントの三階の窓からディランが聞こえる、トゥクトゥクに乗ったタンクトップとトランクスだけの虚ろな目の男は数日前に金で買ったインフルエンザみたいな女の性器を思い出している、あらゆる信号を無視するのであちこちでクラクションの合奏が始まる、タクトを振るものが居ないのが残念なくらいの参加者数だ、カティサークの空瓶を拾って殴る相手を探している、正当な理由があればカマしても構わないなんて考えてる阿呆は決して少なくはないさ、どのみちたいしたことは出来やしない、すれ違いざまに小声で呟くのが関の山さ、あらゆる店、あらゆる住居、あらゆるビルに生活がこびりついて黒ずんでいる、みんな雨を待っているけれどハリケーンでもな
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