少女のペチコートのように重なり合う
波 波 波 波
哀しいことでもあるのか
手に取って口付けると
涙の味がする
世界中のさざ波が
私に寄せてくる
さみしいです
さみしいです
と
私は
この場所からも動けずに
結局
生きることは
さざ波なのだ、と
私は思う
かなしいことも
....
三階の音楽室から一階の
5組の教室を見てた
廊下の向こうの
窓際の席
隣の娘とじゃれてる君がいた
いやだった
わたしが
どんなにきれいな声で歌っても
君のこころに響かない
なんで ....
そういえば今日
小雨のなかで
男の子と
お母さんが
散歩を
していた。
ゅうくんはじゃぼんすぅの
そういって
じゃぼんしたら
お母さんに
ぱしゃん
ゅうくんが
ごめんな ....
未来じゃなくて
明日じゃなくて
今日じゃなくて
ただ 今を生きたい
愛穂(19歳)
夕方街ですれ違う人の顔を
ひとつひとつ眺めながら駅に向かった
疲れて渋い顔をした顔
厚化粧の顔
おしゃれな眼鏡
莫迦みたいな飾りをつけて
熱心に本を読む
独り言いいつ ....
緑水を切子グラスになみなみと
桜はうつむき加減で
枕元に白蛇の足音
額にかかるささやき声
こくりと絞められる狂夜
一人で切りそろえた髪
一心不乱で吹かれる
進路変更の予定はないが
少女が春風のように通り過ぎると
かたい後姿がかしぐ
一枚の薄紙に綴られた想い
恋はま白き薔薇
咲き始めが一番良い香り
朝日に一瞥されると
小さな蝶になって飛び立っていった
発掘された古代の石器が
見つけないで欲しかったと
土をかぶるように
カーテンを抜け降り注ぐ朝日を避け
クリプトはシーツにもぐっている
鳥たちの歌はとうに終わっていて
....
巡り巡って今年も雨の季節です
雨季が明けたらまた蒸し暑い夏になります
毎年 毎年
そうやって繰り返して
春夏秋冬めぐってきます
あたしはずっと考えてました
何をとは言いません
だって ....
言いたいことはたくさんあるけれど
いちばんは
あなたの顔がつまらない
あなたがつまらない
あなたと
あなたからつながる人たちの
どうしようもない業に巻き込まれて
いい迷惑です ....
このせかいで
あなたに あなただからあえてよかった
そう いえるべき おもいあえるあいてを
さがしもとめることが いきること だと
そっと いいきかせてみる
まえのめりに へこたれ くず ....
たわわに実った果樹のような女
葡萄色の唇から溢れ出る
神への賛美
芳醇なものがグラス一杯に注がれ
陽に照らされた観衆がそれらを飲み干す
薔薇の絡まる門は乱暴に開けられ
木々は悩ましく髪をなびかせる
干したままにしてあった小さなハンカチ
若鳥は驚きによって飛び立ち
二度と戻っては来ない
空中に遊ぶ
赤 黄 緑 青
投げられていそいそと飛んだのに
誰の手も触れず畳の上に落ちた
あんなに軽いのに
机の人がいた
脚がついてた
幽体離脱の
練習の真っ最中だった
汗をかいて
それでも手を振ると
余っている方の
手を振ってくれた
(2006.6.19)
「ミス」
私のミスによって
泣く人がいる
「立場」
望むなく
決断を下さねばならない
「決断」
私がせねば
他の誰がしてくれるというのか
「engagement」
中立 ....
純粋な気持ちから なのか
同情の余地から なのか
未だに
見つけられて いない
言えるのは
紅く染まることを
覚えてしまった 顔は
特異なリズムを
覚えてしまった 心は
その喜び ....
薄青色の透明な空に
白い大きな鯨の尻尾
鯨は自由で気まぐれだから
日が昇りきる頃にはもう
どこかの国に泳いで行くんだ
でも優しい鯨のことだから
また会いに来てくれるだろう
僕の吐いた煙を ....
このほしの
ぶるー
ひかる
ぶるー
いちわの
ちいさなうた
このほしをおおう
ちいさなうた
さばくの
やさしさ
がらすをつたう
あめつぶの
やさしさ
このほしにあ ....
こわれたミュール 戻らない日々
声を上げても
もう君はここにない
泣いても もう来てくれない
私、おいてけぼり
こわれたミュール も一度はいても
もう鈴の音は聞こえ ....
やさしい ということばを
ほんとうに つかえているひとは
どのくらいいるのだろう
ふるえてる かたを そっと
だきよせる ことの むずかしさ
かすかな おとを たてることさえ
こわれて ....
刻むたびに届けられる
琥珀色の手紙
大理石の文字盤に蔦の模様
年老いた配達人の腰は曲がっている(鳥に似ている)
かの人の面影を受け取る
暗い森の奥深く
僕らは咲きほこる冷たい水を飲んだ
誓いの口づけを交わさずとも
木苺が赤い宝石のように実る秘密の場所へ
お互いをさらっていくことは
薄く陽光がさしている
植物園では植物がよく育っている
今日は花が少ない、と言って
きみはラッパズイセンを植えている
母親に手を引かれた女の子が
しきりに言葉のようなもので何か話している
話 ....
ずっと一緒だよ
私がそばにいるから・・・
そう 言ったのは
それ程遠くないのになぁ
ごめん
もう無理・・・
そう 言った瞬間に
全部が過去になるんだなぁ
もっともっと早 ....
血圧の
どのくらいが正常範囲かも知らないけれど
私の体温の
37度2分が微熱なことはわかる
もしかして
雨が降ってきた
ご飯を作る係り
掃除の係り
洗濯の係り
任務は遂行せよ ....
しらばっくれるなよ
大型水槽のガラスにも
人息れで滲んだ世界が
ぼんやりと時を刻む
エアコンに負けて
透明になった世界には
勝つか負けるかの打算が
手段を選ばぬ精神が
ワールドサッカー ....
少女の小さな口がそれを求めると
恥ずかしげもなく身を開いた
それは若草を容赦なく踏むような音だ
それは若者の肩のような噛み応えだ
林檎には別の名を与えた方が良い
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【未詩・独白】いまだ詩ならざるもの あるいは独白
作者みずからが未完成であることを認めた詩作品たち
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