マッカートニーの声を聴きながら
誰もこない部屋で
忘れ去られていくようで
弾いていく気分のギター
右手には潰れそうな会社があり
左手には年齢があり
足下の平らに
ぼんやりとして
....
板のような
霧のなかの
岩をめぐる
冬のまぼろし
応えは応えつづけている
応えられぬものはないかのように
ひとつひとつこぼれゆく
ひとつひとつ消えてゆく
....
何度となく夜空を見上げ諦めてきた
手を伸ばせば届く気がして
悲しげにまた僕を包み込む
月すらも瞳に映せない夜は
どうかあかりを灯して((僕を呼んで))
夜明けなどこなければいいね。
....
あれをこうして
ここにドバっと流して
そちらから
あちらに
行くとみせかけて
そのまま
やや斜にかまえ
そこでグワっとした時に
適当にあんな感じで
踊れば
いいと思うよ
多分絶対 ....
嘘をつきました。
世界が崩れるくらいの。
僕の嘘は、一秒一秒成長して。
僕の力じゃ、どうしようもなくなっちゃうくらいに。
僕の嘘が、君の心を犯して。
また、大きくなっちゃ ....
いつかの君に話したい、今、これほどに穏やかな夜
静止していく空気の中 減速していく時間の中
光は散らばって星になる 灯りは遠く遠く透明に
指先は鉄のように冷やかに 彩はブルー
それでもどこかで ....
一反木綿
ブランドって何でしょう
トレンドって何でしょう
ステータスって何でしょう
セレブリティって何でしょう
誰かの視線につながれた風船になるよりも
飾り羽が多すぎて飛べ ....
青い月が私に囁くとき
夜の風が吹き抜けて
青い月はいっそう
冷たく見える
一緒にはなれないよ
そんなあの日の
貴方の言葉を思い出す
朝には白く
消えゆく月に
....
悲しいかなわたしは女じゃない
悲しいかなわたしは男じゃない
悲しいかなわたしは人間ではない
悲しいかな
悲しいかな?
悲しかないがな
*
その声はとても高いところから来た
雲より発し、雨滴とともに地上へ降りてくる
その声にすこし遅れて雲が降りてくる
山肌を滑り降り、谷間を霧で充たす
立ちならぶ鉄塔が山肌を刺繍する
鉄 ....
月がきれいだよって
君に教えようとしたのに
君を見たら君がきれいで
そのまま君を見ていた僕に君が
月がきれいだよって
そうそう
月がきれいなんだよねって
思い出して見上 ....
オレンジ色の色鉛筆だけ
削るのはなんだか勿体無いから、
ピンクのコードとグリーンのヘドフォンを
水溶きしてキーボードに塗ろ(うそ)したら
バナナは皮だ、けみかるウォッシュの(ジーン)ズ
さか ....
夜行列車に乗って
行こうよ知らないどこかへ
そんなふうに
飛び乗ったのかもしれない
行き先も知らずに
何本も
列車を乗り継いで
生まれて死ぬよりも
ずっと長い
永遠のような ....
がさがさの手が
あずき色になって、互いの
手を擦り合わせても温かく
ならずに皮が剥けてゆく
ああ。ささくれ、けば立った心の
乾いた干瓢、ですねまるで
セラムってビヨウエキのこと?
美 ....
雨降りの日はあなたに会いたい
ジーンズの裾とスニーカーはもう
びしょ濡れだけどあなたは
雨に濡れてしまうよりも流れていく
雲を見ているほうがずっと
悲しい気持ちなんだって言った
同じ形 ....
子供の頃の、僕と父の写真を指差して、四歳の息子が、
「お父さんがふたりいる」と笑ってる。
それから、今の僕を指差して「お父さんが、もうひとりいる」と笑ってる。
今度は少し、不思議そうな顔を ....
海が雲を与え
雲が水を与え
森が水を受け取る
やがて川となり
海へそそぎこむ
その自然のサイクル
生活
鼓動の中で
僕は
自動販売機にも及ばない
愛してるなんて
簡単に言うけど
信じちゃうから
人間って不思議
裏切られたって
騙されてたって
また信じるんだ
単純なんだよね
愛されたいんだよね
こころ秘かにそう呼んでいた
――温泉宿ではなく海辺の一軒家を
灰褐色をした雑木林と
露出した山肌が囲み、
いつからか戻らなくなった主の代わりに
月に一度か二度、ぶらり現れては泊まって ....
光を失う
こころで感じる
宇宙では皆さん
ひとりぼっちになって
つながっている
しあわせって
それを感じる
アンテナの数
光を失う
こころ ....
君を見つめて
君に触れようとして 触れられなくて
君からあふれる
光に目を閉じて 瞼の裏に暖かいぬくもりを感じた
思わず閉じた瞼を開けると そこにはもう 君はいなくて
周りを見渡してみて ....
風呂あがりの
ほてった身体を
常夜灯だけがともる
洋室で冷ます
妻も娘も寝静まった
夜更けに
フローリングの床に
じかに座る
柔らかな闇に身を浸すと
穏やかな気持ちになる
....
時間だけが過ぎ去っていく
どれくらい君と過ごしたろう
とても短いものだった
何処へ行ったの?とは訊かない
何も正しくない
何も間違いじゃない
そう信じたかっただけなのか
僕は、過ちを ....
猫についた蚤をあつめて
梅酒の瓶で飼育していたら
祖母が気持ち悪がって
いきなり燻煙殺虫剤を炊いた
薬剤で呼吸が苦しくなって
泣きながら倒れた私の体から
一斉に逃げ出していく蚤たちを見た
夏も近づく八十八夜
野にも山にも若葉が茂る
あれに見えるは茶摘みじゃないか
いや、茶摘みなどではない
茶摘みなど何処にもいないのだ
1sa
駅前でギターを掻き鳴らし
歌をうたっている人々のすぐ隣で
人体切断マジックを披露したら
殴り合いの喧嘩に発展して
切断した人体が次第に腐り出した
雨の中の
傘の下の
小さな涙
早くお家へ帰って
お菓子食べようね
池が
雨で
あふれそうだよ
これが最後になるだなんて
思えば始まりから終わりを見据えていた
いずれ来る痛みに備えていたのに
どうして涙が止まらないんだろう
何度考えてもどうしても
ここにたどり着いてしまう
好きだ ....
派遣社員達が追い求めた結果逆に失ってしまったもの。
追いかけると逃げていく逃げ水のようなもの。
欲しがる人は多いが与える人は少ないもの。
絵に描いた餅のように喰えないもの。
塀の中の人間が ....
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