[268]足立らどみ[2025 05/15 16:05]
文詩的で、切ない郷愁とともに、消え行く感情を哀調混じりに綴る傾向があります。社会背景としてはバブル崩壊後の閉塞感や個人の孤立が色濃く、内面には埋まらない喪失感が覗きます。

? 木下龍也「雨上がり」「風の歌」
木下龍也は1988年生まれの若手歌人で、現代短歌を中心に詩作も行います。『雨上がり』『風の歌』などでは、街角や日常の小景に文学的意味を見出し、やわらかな語調で謳い上げる短詩が特徴です。たとえば雨上がりの匂いや風を受ける身体の感触をありのままに切り取りつつ、そこに「あの日の温度」や「遠い記憶」を重ね合わせ、無常や切なさを滲ませます。言葉遣いは等身大で前向きさと憂いを併せ持ち、死や別れといった重い題材もあっさりと表現することで、深い情念が静かに響いてきます。
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