[302]大村 浩一[2009 03/10 22:32]★2
廿楽順治「化車」冒頭部分)
化車は貨車のようでもあり、南方へ行く船のようでもあり、あるいは練炭ネ
ット心中の車のようでもあり、結局どうにもならぬまま昭和から平成へ流れて
いく社会のようにも、私には感じられました。
いまここの位置からも、体験がなくても、スローガンにならずに歴史を自分
に引きよせて描くことができる。連綿と続くこの詩には精読が必要ですが、私
にはこの作品から、詩がこの後の世界を生き伸びる可能性を教えてもらったよ
うに感じました。
かぼそい骨から
(わたし)
がだらだらながれていく
かんがえていることがやわらかいねぎみたいだ
遠近法がよわいんだよ
うずくまって
わかい職員が
でたらめな線をひいている
せんそうもにほんごもおわらない
(同 部分)
商業詩誌でなくても、こういう貴重な仕事があちこちにあるのが詩の世界で
す。「生き事」はもしかしたらまだ在庫があるかもしれない。興味のある方は
問い合わせてみて下さい。
前
次
戻る
編
削