[104]半知半能[2005 12/16 00:50]★1
って 決して幻でもない 現実の呟き
振り返る先に携帯を弄る女子高生 新聞を読むサラリーマン
口篭もる声はいつも一つだけのようだ
いつもどおりため息を一つ深く吐いて 25分の冷凍睡眠
停止 開くドア 押し寄せる人波 巻き上がる風 街が口を空けて僕を飲み込む
血流の一分子として決まった道筋で街を行くけれど 駅前はひどく動脈硬化だ
見上げれば 雪とも雨ともつかぬ粒が舞う
手を伸ばす隙間さえないのに どうしても触れたくなった
手を窮屈に伸ばすとひやりとした感覚を体温が消す
このまま雨雪を伝って 空に登ってしまえればなんて柄にも無く思う
それだけだ
他に思う事なんて無い
会社のゲートをくぐってPCの電源を入れる と
起動までの数分 喫煙所でのささやかな祈り
吐き出す煙にかすかな本音をのせて
窓の外 積り行く雪に少しの願いを混ぜながら
カチリと ライターで現実の端を焼いた
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