[859]深水遊脚[07/20 18:58]☆
青少年センターという建物の入り口に、紙コップに飲み物を入れる自動販売機があった。僕は紙コップだけが欲しかった。茶色と黒で少し洒落たデザインのその紙コップが、そこにはいっぱいあった。本当に欲しかったかと聞かれれば、それほどまでではなかったのだろう。手に入れたとしても、2、3日もすれば飽きてしまう、そんなことが多い僕だった。冷静になれば、はじめから取ろうとしないのが一番いい。でもその瞬間の僕はそれを真剣に欲していた。
同じように考えて紙コップを取っていってしまう子も他にいるためか、自販機の脇にはこんな貼り紙があった。
「紙コップ取るな!バチがあたります。」
目には入った。殊更に無視
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