作者からのコメント
「どんなにもなりうる人というのはいない。ただ一人の不死の人がすべての人である。コルネリウス・アグリッパのように、わたしは神であり、英雄であり、哲学者であり、悪魔であり、世界である。ということは、わたしは存在しないということの回りくどい言い方なのである」。
(ボルヘス「不死の人」より)
「単一の語り手」による語りという暴虐に抵抗するものとしての「誰もいない」。
オデュッセウスの仲間は皆死んでしまったのだから、もはや彼の言葉の真偽を確かめる術はない。
(「死んでしまった」だと、では「かつては生きていた」ということになるではないか。)
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