作者からのコメント
 聞こえる筈のない声、を描いてみました。
「声」とくれば朗読経験も含め、自分や親しい人の声からイメージを広げていく人が多いだろうと考
え、それなら私は人間じゃない声を書こうと思った。結局は幽霊の声になったりしましたが。

 工法的にはまず「声がきこえる」の行で挟んだ 5つの連を作り、後から「声が〜」の行を機械的に
消しました。人工皮革の芯の製法に似ていますね。或いはシュールレアリズムの技法か。
 でも最初はそぎ落とし過ぎて変になった。岡井隆さんが日経新聞で、吉岡実の詩の音の解析をやっ
たって書いていて、そうか音かと脚韻を適当に試したら、軽味がついて意外にも直りました。

 リリカルな雰囲気に流されないよう「便水願います」をもって来ました。これが今回の敷居です。
前の連と繋がっていて、内地に帰れたのに戦犯にされてしまった兵士の幽霊、という裏設定。なので
巣鴨プリズンでサンシャインシティなのです。「便水願います」は実際に刑務所で言わされる科白で、
この科白を主なモチーフにした詩を本で読んだ記憶があるのですが、誰の詩か思い出せません。

北村 守通さん、石川敬大さん、丘上ミセイさん、渡部雅士さん、
白井明大さん、イワモト アヤさん、夏野雨さん、ともさん、
伊月りささん、三枝フウさん、渡 ひろこさん、サクラさん、
大理 奔 (たりぽん)さん、laverさん、リアルさん、
麻里乃さん、服部 剛さん、梓 いっせーさん、 小林坩堝さん、
とものさん、深千夜さん、千月 話子さん、西日 茜さん、
平井承太郎さん、あおばさん、竜野息吹さん、オイタルさん、
乱太郎さん、くすこさん、beebeeさん、ルナクさん、
縫ミチヨさん、フミタケさん、果音さん、北大路 京介さん、

 掲示直後は出張で、当初出張先の携帯からで十分なレスが出来なかったのですが、ポイントくだ
さった皆さん、ありがとうございました。

白井明大さん 
>行分け詩と散文詩の間には、形式上明確な線引きが可能だと思っていたのですが、さほど明確な境はないのでは、とこのところ感じております。
>御作品を拝見して、やはり、という思いを抱きました。
>ことばひとつひとつに、確かな存在感がありながら、とつとつとつながってゆくさまが、拝読していて心地よいものでした。
 過分なお言葉、ありがとうございます。体裁は行分け詩ですが、意識の流れは散文的ですね。散文
詩の形にすることも、実は検討したのです。

イワモト アヤさん
>ああ、すごくいいです。
>情景の描写が。
 ありがとうございます。実は 4つの連を捻り出すのに難儀しました。最終連ももっと説明っぽかっ
たのですが、情景描写に置き換えたのです。
 カラーボックスは日頃の経験から。大村家ではゴミ出しはワシ担当です。(笑)

服部 剛さん 
>俯瞰した立ち位置から場面を切り取り、 
>現代を表している詩だと思いました。 
>特に終連は、街に潜む誰かの声を代弁しているようです。 
 コメントありがとうございます。ドライな見せ方を意識したので、映像を切り替えていくカメラは
比較的高めの位置に構えました。
 最終の連はご指摘の通りです。「ありきたり」は、自分だけが…と思っているような苦しみが、特
別なものでなく誰にでもある陳腐なものだ(陳腐だけど誰も解決もできねえんだ)、という私の呼び
かけを残したくて残したものです。第1行だけ「ですます調」にしたのも、呼びかけだからです。ヘ
ンといえばヘンですが。(笑)ヘンと言えば、最終行以外に句読点をつけるのも、年輩の詩人さんか
らはヘンだと言われる時があります。

西日 茜さん
 コメントありがとうございます。

---2009/12/24 17:49追記--- 48歳の誕生日だ。(笑)
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