ポイントなしのコメント
[菊西 夕座]
カメムシを食うというのはたいへん先進的だと思いました。 いまならまだSF映画の設定としておもしろいかもしれません。 カメムシの捕獲と殺戮に知恵をめぐらせて兵器を開発するにんげんというのは、奇特で貪欲でしたたかな生物なのだと再認識させられました。 それから首がとれるように設計されているところ。一種の付け替えということで、このカメムシの世界から離陸していくわけですが、これがいかにも自然に行われているのは、やはり季節というものの流れをうまく物語りの下地に敷かれているからであり、そこを巧みにすべっていけるだけのスキルを若い頃にさんざんスキーをやって身につけられたからなのだと感じております。 スキーに没頭した青春の象徴たる季節もいまや、仮死状態でやりすごさなければならない害虫のような存在になってしまったかと見ることもできるわけであり、こうした老いの淋しさもかかえてどこかへ放浪したいという気持は、ひっくりかえったカメムシの新たな飛翔に通じるものがあるのかもしれません。
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