ポイントのコメント
[若原光彦]
雑誌掲載を前提としたエッセイであったこともあるんでしょうが、A氏に仮託しているぶん、どこまでが「いとうさんの認識」なのか、どこまでが「話をわかりやすくするための極論」なのか、霞がかっていると感じました。何について問題提起しているものなのか、いや、指摘も問題提起もなく、ただバッドエンドの一例を示して見せただけなのか。エッセイとしては読みやすいですが、創文の意図はわかりづらくなっています。
また(これは「個人によってはネット詩は合わないよ」なんてことを述べた文章ではなく、ネット詩全体が持つ構造的な欠点を指摘したものだと思うのですが)、A氏に対してB氏やC氏やD氏も語りうるわけで、この文章の書き方に実直な反応をすると「けっきょく人それぞれでしょう」という凡庸な結論に至ってしまいがちだとも思います。
私は「ネットの並列さ(外部へ通じるほどは突出しにくい、紙媒体で展開されてきた日本の戦後詩と交流が少ない、等)」を示した文章と感じ取りましたが、それも間違っているかもしれません。いとうさんのスタンスはなんとなく掴んでいるつもりですが、このエッセイには続編か補記がほしい気もします。
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