ポイントのコメント
[草野大悟]
おそらくは風鈴(南部鉄ならなお良い)の鳴る風情に触発され生まれた作品と思われる。
まず「容赦ない夏」から場面はスタートする訳であるが、
この「容赦ない」との表現が、気候の暑さを感じさせ、また、実生活面での厳しさを感じさせる書き出しとなっている。
そのような、容赦ない厳しさの中で、
「わずかな風」を拾い集めて、安らぎが「リン」と鳴るのである。
それに、作者(yaka)は瞬間的に救われる。
何故?
その答えが二連にある。
リンと鳴る音に、何か「なつかしいもの」、「自分の根っこを彷彿とさせるもの」からの紛れもない便りが、たとえば故郷から古い段ボール箱で届けられるように「わたし」の届くのである。
世の中があるいは自らの外形がどう変わってもコア部分は不変の私が、そこに実在することを作者は良しとするのであろう。
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