ポイントのコメント
[アラガイs]
文法的にみてもよく考えられた処理法ですね。記憶に残る作品です。これだけ動詞を繰り返しながら限られた色で止め置く。精神性のある黒と白を用い最後には紅で終える。つまり混ぜ合わせた色の中で唯一紅が浮かび上がるように、この空間だけは現実的に処理される訳です。生誕の罪を問うような、過去を悔いるような祈りを感じますね。 それまでの文は天使のラッパを合図に時間の観念の中をいったりきたりするだけの追想で、実は平面に描かれた絵の中を、壊れた時計のように思考は立ち止まったままの状態な訳です。 時間という概念の中で脳裡に横たわる記憶を制御できない。これは空間に描ききれない観念的な破綻からの救済を意図して書かれているのだろうと思われます。
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