ポイントのコメント
[アラガイs]
やぶ医者が多かったその昔、肺炎の症状を見過ごされ殺されかけた幼子は大勢いた。当時わたしもその内の一人だった。 確かに粗末な治療用具を今と比べることはできない。 しかし、怪我をしたとき粗雑に扱われた縫い針の刺糸。それはたとえ小さな傷痕でもこのわたしの胸から一生消え去ることはないだろう。 (ちっ、そいつを引きずることはないじゃないか )まったくそのとおりだが、年を取るにつれそいつを味方に変えることはできる 。だが、まてよ 。俺は用心しなければならない 。そいつだっていつ裏切るとも知れない 。 必ずすれ違う時は来るんだ。時と逆周りにのたうつそいつとは。 たとえ汗と血を流し、純白に身を浄めようとも、一生離れては暮らせないんだから 。 そう、これからも 。
戻る
編集