オクノホソミチ 〜KAZANAGI風味〜/Rin.
 
も言えなかった。

 チーン。・・・・・・・

祇園精舎の鐘のように、レンジが鳴ったときにはもう4時42分だった。無駄だと分かっていたけれど、とりあえずホームめがけて走ってみた。だがやっぱりエネルギーをよけいに使っただけであった。私達の目の前で、電車は白いハンカチを振って行ってしまった。憎いほど温かい栗おこわのせいで、私達は指定席の切符をもちながら、次の電車のこみこみの自由席に乗って帰ることになってしまった。ハルカなんか特に怒り出しそうだった。しかし自分もおこわが食べたいと言った以上、文句も言えずに「うー。」となっていた。おこわはほかほかで、とてもおいしかった。
 なんだかんだ言っている間に、一行は京都駅に着き、旅行はなんとか終了した。どっと疲れたが、私達はもう冬休みの話をしていた。
「冬はさ、彼氏と旅行したいよねえ。」「夜景なんかロマンティックでいいやんねえ。」などとワクワク想像していたが、カヨをのぞく4人が、神戸のルミナリエを見にくりだしたのはそれから4カ月半後の、12月24日のことである・・・。


   グループ"【TJ】 楽器なきPUNKISH NIDHT"
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