オクノホソミチ 〜KAZANAGI風味〜/Rin.
1本ずつばらして火を点けるものだと考えたこともなかったのだ。いつもいつも束ごと点火して、「つかないようー。」と泣きそうになっていた。あたりまえである。今度も私は、20本まとめて炎にかざしていた。
「わあああああっ!ヤメレー!」
ユウコが必死に止める。
「これはね、テープを外して、1本ずつやるんやで。ほら、こうやって。」
ユウコは私に1本手渡してくれた。
なるほど、こうすれば確かに火は点く。花火はやがて、音をたて始めた。
「こんな細いのに、勢いいいんやねえ。」
そうつぶやきながら私は、飛び散る火花を見つめていた。ばらと火薬はたまらなく臭かったが、懐かしい気分になって楽しかった。
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