憂楽町線/練馬区民
シュ一枚さえない
隣の人はうつむいたまま息をつまらせている
私のメガネも疲れてうつむいている
憂楽町線はひどく混んでいて
私と隣の人はとてもくっついていて
そのぬくもりが妙にあったかいけれど
けれどそれがなんだっていうの
しらけた目をもって
そっと願うことは
そんなに泣かないで
そんなに泣かないで
私だって泣きたいことくらいあるんだよ
昨日はジューガツジョージュンの陽気だったとか
今朝はニガツゲジュンの冷え込みですとか
飽きもせず聞くけれど
本当に知りたいことは
毎日夢に出てくる人の顔
夜の憂楽町線は
人に踏みつけられたさらにその下で
何も言わず走っている
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