転落時刻/A道化
屋根瓦に置かれた夕刻の重みで
玄関を飛び出したまま私は戻りません
西空の 夜にかけての諦めが
すべて諦め終わった証拠
としての 暗い打撲跡の広がり
そして癖になったその痛みへいつしか消えた
豆腐屋のトラック
そのスピーカーからの柔らかな言葉は 嘗てから
雑音に削られ欠損だらけでした
ああ
そしてまた打撲跡を諦めてゆく朝と昼を過ぎたら
そしてまた欠損ごと消えた柔らかな言葉を探さず
すべての諦めの後に
すべての喪失の跡の
空き地に躓いてただ泣く時刻は いつも
屋根瓦から既に転落した夕刻です
2004.4.5.
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