月夜見歌/朱雀
写り
情思の双葉を 宿らせ給え
望月
愛(め)ずらし姿に 暫し見蕩れて
待ち侘び続けた 人影も
槐夢(かいむ)と怪しみ 声すらかけず
不知夜月
漫(そぞ)ろがましき 宵闇に
猶予いながら 浮かぶのは
確かに 昨日の優姿(やさすがた)
遮る雲に 呟(つぶ)めく詫言
十七日月
心躍らせ 立待つ薄暮に
現れ出(いず)る 影ひとつ
十八日月
胸走りは 納まらず
昨夜(よべ)より長い 居待ちの月に
憂いと安堵の 溜息ふたつ
十九日月
痺れを切らす その前に
ふらりと浮かぶ 臥待月(ふしまちづき)
孤衾を敷く手に 三度の迷い
二十日月
やがて夢路に 潜る境の
夜更けに出(いで)し 更待月
おぼろに眺めた 木の四つ
二十三夜待ち
真夜(まよる)に昇る 弓張りに
二往の願立(がんたて) 夜を明かす
晦(つきごもり)
巡る月日に 思いなずらえ
寄せては返す 虚舟(うろぶね)が
月に習って 川傍に隠れ
光彩放つ 新月を待つ
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