通勤快速/たもつ
た弁当の飯粒を数え続け青い空に卒倒していく中堅社員だ!
駅に停車するごとに通勤快速は人を吐き出し人を吸い込み
呼吸、呼吸、呼吸のリズムで
俺ははぐれないように俺自身を点呼する
くそっ!ボインちゃん
貧しい者が乗り込む豊かな者が乗り込む
豊かな者は貧しい者に手を差し伸べない貧しいものはただ欲する
俺は貧しいものにも豊かなものにもなりたくはない
俺の口は言葉を回避し放棄しただ嘔吐するためだけの器官に成り下がる
口の中に広がるのは夕べ食った明太子のプチプチだ!
やがて通勤は波となりまくら木のひとつひとつに俺の名を刻む
俺は通勤快速を愛し通勤快速のために死んでいく
このままどこに行くのかなんて考えないことだ
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