自然治癒/千月 話子
 
くしゃがんだ
彼女だけがきれいに写ったそれを
今も 持っている



家の鍵を鉢植えの下に隠すのは
もう やめよう
動かすたびに小さな虫の住処を奪った
彼らには太陽など必要ないのだ



薄暗い軒先に
どくだみが群生していた
目に焼きついた
暗い 暗い 紫
私はそれを 摘んだりしない
もう二度と 摘んだりしない
 役立たずの・・・



”お母さん、あの子どこに行ったんだろう。”

赤い花の蜜を吸いながら問う
私の恍惚を捨て去って
母が遠くを見つめていた



二人して 静かに時が過ぎるのを
午後の日差しを受けながら
じっと じっと 待っていた



 
   グループ"四文字熟語"
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