表面張力/大覚アキラ
夕方。
昼過ぎから降り続いた雨は思い出したように止み
濡れたアスファルトに朝日のような夕日が射すと、
ちょっとくたびれた世界は
透きとおった群青色と鮮やかなオレンジ色の輝きで覆われる。
湿り気を帯びた少し肌寒い空気の中、
土佐堀通りと四ツ橋筋の交差点のところで
道に迷った阿呆のようにポカンと口を開いて
おれは突っ立っている。
道路沿いの植え込みの深緑の葉っぱのふちの
ギザギザしたところに雨の雫が集まって
今にも落ちそうになっているのを穴が開くほど見つめながら
ただひたすら呪文のように、表面張力、という単語だけを
心の中で反芻し続ける。
表面張力、
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