一行詩十篇(シーツの海)/板谷みきょう
滅びゆく民の耳元で 囁き告げる吐息の言葉
離れても白い月 狐道 いつでも逢えるように
別れたはずが 雨 求める肌と応えた肌を
溶かし合った分だけ 募る 想いの切なさよ
まだ夜なのか もう朝なのか 想い残して闇の中
心が壊れてしまいそう きゅんと募る想い 春を焦がれて
言葉にできない想い だから 口に含んで口移し
吐息が耳から離れない 我慢することなんてないけど
シーツの海 羽を奪いたくて 止められない
風の儀式に身を焦がす 体内の奥に注ぎ込む
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