彼の乗った船が エーゲ海で消えた/もも うさぎ
 
いつのまにか ひざまで水につかっていて

寒くはなかった




あたしはここで
砂の欠片が 薄白い光を浴びて 

浚(さら)われていくのを ずっと見ている


きっと ずっと 見ていることになる






彼の乗った船が エーゲ海で 消えた


とき



あたしは そばに いられた




彼が

あの深海銀河を 待ち合わせ場所に選んだのだ




















〜彼の乗った船が エーゲ海で消えた〜


   グループ"■ 現代詩フォーラム詩集 2007 ■"
   Point(32)