少しだけね/プル式
僕にとって
大切な事
大切な人
大切なもの
ほんとう
と聞かれて戸惑った。
ちいさな引っかき傷は
少しずつ広がって
広がって
広がって。
僕の抜け殻が
脆くも崩れだす
優越と欺瞞(ぎまん)と幻想
それらが少しずつ
腐敗して
腐敗して。
そして随分たったけど
腐敗した抜け殻は
土になり
森になり
記憶になり
僕を育てる
育てた。
だからもしも
もう一度あの子に
ほんとう
と聞かれたなら
ちょっと笑いながら
考え込む振りをして言うんだ。
少しだけねって。
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