追いつけないよ。/プル式
 
誰も知らない顔をして
通り過ぎていく君の強さ

夏の制服の薄いシャツから伝わる
淡い匂い 淡い声 淡い想い

すべてが溶け込んだような
プールの塩素の匂い

もう過ぎてしまった七夕は
一度だけしかお願いが出来なかった

少しだけ夕暮れの匂いが
錆びたトタンのように懐かしくて

帰る家を思い出すのに
わざわざ君の家の前なんか
通らなくても良かったのに

付き合ってよなんて
ドキドキしたのはいつだっけ

照れて笑った君の顔なんて
思い出したくも無いのに
涙みたいに止まらないよ

天の川なんて誰も渡れなければいい
彦星なんて大嫌いだ

最後に一言だけ言わせてよ
君が好きだったあの小説
今度映画になるんだよって

   グループ"作者が好きな自分の作品"
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