バレーボールの夢/狩心
 
クもしなくなって
しまいには、肝心要のボールさえも、
コートの隅の、冷たい床の上に忘れ去られている
これがバレーボールの夢だと分かっているのは私だけ
観客は限りなく加算されていく得点に興奮しながら、
総立ちで、拍手をしている
冷たい床に落ちている、忘れ去られたボールを拾い、宙に投げる、
私はジャンプして、アタックする
高いネットを越えて、相手側のコートの床に
ボールがバシン!と叩きつけられた音が響くと
みんな静まり返って
私を軽蔑した眼差しで、睨みつける
私は急いでそのボールの下へ駆け寄り、両手で拾う、
バスケットボールのようにドリブルをはじめ、
高いネットに体ごと、ダンクシュートを決める
ネットに引っかかったまま、
蜘蛛のようにぶら下がる私を見て、
人々は歓声を上げた、

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