記憶の断片小説・ショートシネマ 「ロイド」/虹村 凌
 
「5本目の煙草・滲む画面」

僕が彼女の家を訪れてからしばらく、彼女に関する出来事は無い。
僕はライチとモメ事を起こし、かなりテンパっていたので、
ロイドに関わる余裕が微塵も無かったのだ。
その間、ライチとロイドは何度か連絡を取っていて、
二人の間で出た結論は
「虹村 凌は使えない」
だったみたい。

僕がボストンについて二年目まで、彼女に関する記憶は一切無い。
何度か、メールだけは交わしたのだろうか?
チャットをしたかも知れない。
とにかく、僕がボストンに行って二年目の事だった。
僕は学校側の手違いで、寮に入れずに、近くのホテルに滞在させられていた。
少し大きめのベ
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