哀しみ皇子(5)/アマル・シャタカ
ね」
ええ!じゃあ、宝石を持っていないぼくは・・・・
「入れないということだね
でも、皇子が本当の哀しみを理解できるときに
その谷への道は開かれるだろうよ」
本当の哀しみ・・・・・・
やっぱり、哀しみマニュアルの言葉は、まちがっているのかなあ
「ままならないから、哀しむって、アレかい?」
オジサンは微笑んでいる
やっぱり違うのかなあ
プシューって、列車が蒸気を出してる
もう、発車の時刻みたい
ねえ、オジサンさんが死んじゃったら、もう、涙は宝石にならないの?
「そうだね」
どうしてさ?
「そういう決まりなんだ
俺には嫁さんも子供もいないからさ」
じゃあ、結婚
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