白い都市/英水
 
ソコは。
溢れている
ただ、天蓋はない
一斉に眠ることもあれば
一斉に目覚めることがあるという それだけのことだ

街に耳を当てカツテは聞いた雑踏の鼓動
力強かった
でも、偏在していたソレは
今、自失とし訪問を待ち続けている


彼女は。
螺旋階段を駆け下り
駅へと向かう細い路地 へ
そこは、室外機が寄生する雑巣(ザッソウ)
ホタリ ホタリ
首に鋭い冷気を感じ 這わせる指
傷ついたプラスチックホースから 落ちる透明な血
(イタクナイ?)
羽音が、間断なく低い響きを立
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