駅・品川にて/たりぽん(大理 奔)
 

久しぶりに訪れた
東京の汗ばむ空、の

こぼれたコーラで黒く粘つくひと隅に
この名前にお似合いのちっぽけな石

   忘れられなくすればいい
   刻んでしまえば、思い出すしかないだろう
   黄色い隔たりを越えて、舞い降りる
   枕木の間に蒔かれた砕石に刻もう
   砕石ですら僕を忘れないのならば。


カラスが狂ったように鳴く
目が覚めて、すべり込む
窓にはそれぞれの眠たい顔
「思い出せない」ものは懐かしいものばかりだ
小さな傷なら、自分に刻もう
久しぶりに訪れた東京のそれ
が、今日の

そしていつもの。






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