駅・品川にて/たりぽん(大理 奔)
く
久しぶりに訪れた
東京の汗ばむ空、の
こぼれたコーラで黒く粘つくひと隅に
この名前にお似合いのちっぽけな石
忘れられなくすればいい
刻んでしまえば、思い出すしかないだろう
黄色い隔たりを越えて、舞い降りる
枕木の間に蒔かれた砕石に刻もう
砕石ですら僕を忘れないのならば。
カラスが狂ったように鳴く
目が覚めて、すべり込む
窓にはそれぞれの眠たい顔
「思い出せない」ものは懐かしいものばかりだ
小さな傷なら、自分に刻もう
久しぶりに訪れた東京のそれ
が、今日の
そしていつもの。
前 次 グループ"駅"
編 削 Point(6)