花ならば/
たりぽん(大理 奔)
話し相手もいない
岩だらけの黄色い砂漠
高名な歴史学者も
優秀な地球学者も
天才的な物理学者も
知り得ない恋の秘密を
地下水に抱かれた砂礫層の中に
とじこめて
花が空ばかり見つめていたのは
誰かのための歌声
あの三日月と星を掲げる塔から流れでる
神へ捧げる歌をきこうとしたから
どうしても一緒にいたいなら
この身の全てを朝の雨にかえて
そそぐよりほかに
花には
思いつかなかったから
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