95、苦笑 【くしょう】/雨宮 之人
 
また今日が暮れてゆく
斜陽が、ビルを輝かせて
屋上で
その眩しさに目を細めながら

一息、煙を吐き出して、考えてみた
本当の顔が
どこにあるのか忘れてしまったこと
階層化、している笑顔のこと

顔、顔、顔、顔、この顔が
笑顔のパーツを
うまく、組み合わせられなくなっているんだ

摩天楼で歪な地平線を見下ろし
オマエも似たもの同士だなぁ
と、僕はただ笑う
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