97、息を止めた 【いきをとめた】/雨宮 之人
生まれた瞬間から、私たちは繰り返す
産声を、いつまでも繰り返す
吸って、吐いて、また吸って
ずうっと昔 毒であったそれを
呼吸を止めてみると、拍動がよく聞こえる
リズムを取れ、と、それは告げている
この体に満ちた生命力が
存在を、主張する
「そうだ、繰り返せ」と
内なる我が生命は
また明日、と手を振るように告げて
それもまた戯れに
戯れに続くのだろう、絶えるまでは
太陽が、月が じっと私たちを見ている
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