サナギ一年分/ふるる
懸賞好きの母が
手当たり次第に応募している懸賞が当たった
「サナギ一年分」だそうだ
当然母は家族からさんざん責められた
そんなものが一年間も毎日送りつけられたらたまったものじゃない
特に、虫嫌いの姉は発狂せんばかりに反対した
「こんな家出て行ってやるー!」と言う
姉は今年三十六にもなるからいい機会じゃないか、と
家族全員が思っていたが口には出さない
とうとうその日が来た
郵便配達員が、胸ポケットからサナギを出して
ここに判子を下さいと言い
それからそっとサナギを置いていった
「大きさからして蛾のサナギだろう」と言うと
姉はまた発狂しそうにわめいた
そしてス
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