平安の塔/北大路京介
完成当時は日本一の高さを誇っていた聖徳太子タワー
いまは錆びついて哀愁が漂っている
存在したことさえ 消されてしまっている
塗り替えられる歴史
なかったことに なかったことに
繰り返される歴史
勝者が勝者の手によってつくる歴史
作り直される歴史
架空の人物がいて
架空の人物が創り上げられて
つじつま合わせの行動をして
いつのまにか
捏造された歴史が
常識となり
高くそびえた塔が 朽ち果てていき
知らぬ間に 塔を建てた資金の一部が少ない給料から引かれていく
「 お金があれば病院に行けるのに 」
そう言ってた 姉さんが死んだ
僕も両親も裕福ではないけれど、
お金を援助しようとはした
姉さんは
「我慢していれば良いから」と、
お金を受け取らず、病院へ行かなかった
僕や両親が、いないほうが
彼女にとっては良かったのかもしれない
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