十一月のブーゲンビリア/銀猫
柿の実色に日は暮れて
通学路に残ったチョークの○も滲む頃
街中の電線にたわむ百舌たちは
嬉々 嬉々と啼いて安堵する
それを羨む秋の傍らで
きみに書きあぐねている手紙は
お決まりの挨拶と
他愛もない今日の出来事
ニュースと言えば
季節外れのブーゲンビリアが咲いたこと
思いを綴れば嘘のようで
諦めを紡げば本当でない
北寄りの風が通る道で
赤の花弁は
隠し切れない恋心に似て
熱を出しているらしい
ひら と散りながらこころに降り
頑なな冬の気配を
一日伸ばしにする
幾筋もの川の向こうで
きみの今日は
紫紺の闇に溶けてゆく
十一月のブーゲンビリア
そんなに何故赤い
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