創書日和「祝」 桜茶/逢坂桜
い物をしていた。
「手伝おうか?」
「もう終わるから、早く寝なさい」
「はーい」
振り向いた母と眼が合う。
母は眼を伏せがちにして、背を向けた。
「今日はお疲れ様。早く寝ちゃいなさい」
階段を上がりながら、涙が出てきた。
どうしてわかったんだろう。
姉も義兄も、誰も知らない私の秘密。
どうして母に、わかってしまったのか。
こぶしでぬぐいながら、ふと思い出した。
母には妹がいた。
妹が嫁いだ翌年、父とお見合いして、結婚した。
姉が桜茶をお出しする時、息を詰めた表情の母を見ていたが、
母も、苦い桜茶を味わったのかもしれない。
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