ノート(終冬の蛇)/木立 悟
果実のように眠る蛇が
枯れ木の枝に揺れながら
見知らぬ少女に呑まれる夢を見ている
少女は蛇を知っている
眠ったままの蛇の頭を
深く口に含んだとき
無味の毒が舌を包んだ
その動かない動きと
音の無い音を知っている
少女は蛇に近づいていった
小さく風を吸い 風を吐き
ひとりの無色の舞となり
冬の結び目を解いていった
近づく少女の熱に目覚めて
蛇は言った
わたしは
夢のなかのあなたしか知らない
少女は言った
わたしは
わたしのなかのあなたしか知らない
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