事実、失われたものたちが/こどもみたいなことを
眉間に集束して、にこやかに手を振っている/窓際に並べ合って、トランプしている
夏の蜃気楼に酔った、寂しさの群れが/失ったままの、指先で
おはよう。という断絶の/決して拡がらない距離で
こんにちは。という振動の/感じられない皮膚で
目にみえないくらいの、繊毛のような果敢なさで/祈ることも知らず、ただ怯えながら
ち、という一文字にぶら下がっている/絶壁からのバンジー
八月のカレンダーを、いち早く破り/真っ白なティッシュに吐き出した精子を捨て
親指のうえでボールペンを回転させながら/ひかりの下で三面鏡を覗くと
不遜な態度で、睨んでいる/いまどき、自由なんてダサいっていう顔で
月は、いつも営業してるし/ぼくらは、やっぱり死んでいて
君は、元気で/事実、失われたものたちが
永遠に配られている