降り来る言葉 XII/木立 悟
ふと手に触れた夜が
地平線を見せてくれた
幻と幻の間をふちどる
ほんとうのかたちを見せてくれた
水たまりの上に跳ねる言葉を
橋の向こうから見つめるもの
影と影の間のまなざし
遠い朝を聴くまなざし
眠りの雪 眠りの柱
つづく粒 つづく銀
負うものにうつむく翼の枝が
空からの軌跡のかたちに連なっている
雪にかすむ鉄塔を越え
小さく赤く遠去かる手
冷たい痛みを知るときはじめて
降り来るもののかたちを知る
右と左に異なる光の
瞳をつくる小さな小さな
ひとつひとつの淡い混沌
緑と灰の陽 金の葉 蒼の木
ささやき ふるえ 水たまり
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