降り来る言葉 LVIII/木立 悟
ると 終わりしかない
言葉には曇
雨と鉱の曇
曲がる光を見ている子
川でも海でも
水でもない水
ひとりのための
舟を奪う
遠くまで遠くまで遠くに満ちて
四ッ足の岩
荒れ野には壁
風を喰う壁
金色の波
深翠の片目の子
あなたはいつか
ほんとうをほんとうと言えるだろう
わたしはあなたを嗤うものと同じく
洞のなかを迷うもの
息を見つめる目を持ちながら
星へ星へと背を向けるもの
光の前の群集
夜は終わらず
素足の踊りに影は冷え
空は小指に折りたたまれる
紙の耳が燃えている
たがいちがいの行方を染め
影に撫でられ眠る子の
片方のまぶたを染めてゆく
前 次 グループ"降り来る言葉"
編 削 Point(4)