海を/ふるる
 
 海は子守唄を優しく歌っていた
    ため息一つだけついて君は寝返り
   とても暑い夜だった今夜とは違って
  暑い夜なので悲しい予感はなくむしろ
 君の手や足を成長させるのにはいい温度
 額に浮かぶ汗を誰かが拭ってくれていた
 それから月日がたってここにはもう誰も
  暖かい夜なので魚もお腹が一杯だろう
   僕は君がよく動く指でさっと捕まえ
    すぐに捨てたものだったけれども
     昨日のことのように覚えている
      君が海と風を眺めていたこと
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