カバの季節について約束する/たりぽん(大理 奔)
 
ぱらったマキはこれまたいつものこと
柿ピーをくちびるにちょっとくわえて
えらそうな酔っぱらいに限ってツケがたまるんだよねって
ホント、ヒトがよすぎるよ
年下の旦那は逃げちゃったけど
好きだった人の子供だから恨んじゃない
間違ってるよねきっと、訴えればよかった
なんて言いながら、ビールを飲み干して
もう一杯ちょうだいなんて
そりゃネタなんじゃないのとか言ってみる

正しくても間違っててもマキちゃん応援してるよ
いつもそういうと、彼女は涙ぐむこともなく
じゃ、遠慮なくもう一杯いただくね!って
鼻歌交じりにサーバーのレバー倒して
生ビール泡立てていく
「今度暇なときに、動物園に連れてってよ」
ふいに彼女が冗談でも言ったかと思い
カバの季節になったらなって言ったら
「絶対だよ!乾杯!絶対にね」

  冷たい青い雪が
  私の体温を奪って
  透明に流れ落ちていき
  足下で、泥んこの水溜まりになって
  立ち尽くす、そして
  踏み出す先もすべて



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