創書日和「扉」 open/close/逢坂桜
いまにして思えば、いつも扉があった。
あの夜、鍵が開かない扉を見つめ、
電灯が射す、コンクリートの壁を覚えてる。
誰にも触れられたくなくて、
扉の前に、本棚を移動させた夜。
外に出て行く物音を扉越しに聴いて、
顔をゆがめて泣きそうになった朝。
そして・・・
扉を開けたら、
あなたがいた、冬の日。
いくつもの扉を開け、
いくつもの扉を閉め、
わたしはここに立っている。
あなたの隣に、立っている。
これからは、
ふたりで扉を開けて、
ふたりで扉をくぐり、
ふたりで扉を閉める。
そしてまた、新たな扉の前に立つ。
それが「ふたりで生きていく」こと。
「扉」を恐れず、歩んでいこう。
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