黄落/佐々宝砂
 
紫煙吐く 色なき風を染めんとし

栗剥くやただひたすらに我のため

触れずとも胸を開きて鳳仙花

桔梗咲く丘登りたり逢へずとも

黄落す逢ひ引きと云ふ罪重ね

木に残す柿の実ひとつ祈るごと

我ら二人別れ行くとも照葉かな

身に沁むや老猫に話しかけてゐる母よ



   グループ"Feminine Fetishism"
   Point(4)