軒下いっぱい/
AB(なかほど)
十五年ぶりに
山辺の路を歩く
あのときは誰と歩いたっけ
いくつもの寺や神社で
いくかのお願いをしながら
あのときは誰と
箸墓の謂れを読んでいるころから
みぞおちあたり くるものは
山辺の夕焼け
が卑怯なくらいに
あいにく
今日の大和の風は砂をはらんでいることもなく
腰かけた店先では
下をうつむくしか
なく
わかったよ
本当はもうとっくに思い出してるよ
差し出された干し柿は
とても甘く
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